【Trader Joe’s】からPirate Joe’sをつくった男

トレーダー・ジョーズ(Trader Joe's)

トレーダー・ジョーズは、宣伝を一切しなくてもコアのファンがいて、お店はいつも人で溢れています。また、トレーダー・ジョーズのない地域や国のために、アマゾンや他のショッピングサイトではトレーダー・ジョーズの品が結構な値段で転売されているぐらいです。アメリカも、ハワイやアラスカなど離島では支店がないので、そちらに住んでいる人からは「トレジョ(日本人の間ではそう呼ばれている)がなくて悲しい、どうしてもほしいものはネットで手に入れる」と聞きます。

トレジョが好きすぎて、ついに・・

そして、カナダにもトレーダー・ジョーズの魅力に取り憑かれた男がいました。Mike Hallattは、大学生としてサンフランシスコに3年間住んでいた時に、トレーダー・ジョーズが大好きになったそうです。

彼は、その後故郷のカナダに戻りましたが、トレーダー・ジョーズがないのを寂しく思うあまり、なんと2012年にアメリカでトレジョ商品を大量購入してきて、その商品を売る店「パイレーツ・ジョーズ」をカナダ・バンクーバーに開いたのです。

トレーダー・ジョーズは潜在的需要があるにも関わらず、カナダには進出していませんでした。実際、トレジョは国内でも島や不便なところ、またどの海外にも進出していません。商品の価格をどこも一律で低く抑えるために、輸送にはできるだけお金をかけない方針のようです。

そこで、パイレーツ・ジョーの海賊(店主)であるこのマイク・ハラットが、国境を超えてワシントン州内のあちこちのトレーダージョーズで買い物をして商品を仕入れ、自分の「トレジョ」をオープンさせたというわけです。

 

 

しかし、小売価格にさらに儲けを上乗せした商品でトレーダー・ジョーズのコピー店をつくるのは、数店舗のトレジョで買い物をして戦利品をパイレーツ・ジョーズに持ち帰る、というだけの簡単なものではありませんでした。州内のトレーダー・ジョーズの店で買物をすること、しかも普通ではないほどの大量買いをしているうちに、店の従業員たちはハラットの存在に気づいただけではなく、彼の車もマークされるようになりました。何回かの買い出し後に、彼はスタッフに彼の車を見られないよう、車を停める場所に注意しなくてはいけなくなりました。

彼の車が見えなくても、ハラットは何度か店から追い出されたこともありました。時々、一つの商品を買いすぎる、という理由で店から拒絶されたりもしました。それまでに、ハラットはトレーダージョーズでの買い物に80万ドル(1億円以上)を費やしていました。なので、彼は例えお店から買い物を禁止されても、自分がお店の一番の得意客だと主張していました。

その頃から、ハラットは変装もし始めました。彼は、自分だとわからないようにするためには何でもしました。女装してドレスを着たり、麦わら帽子を被ったり、口ひげやかつらをつけたり、爪を塗ったり、そうかと思えば、ある時は地味なグレーのピンストライプのスーツを着てメガネを掛けていたこともありました(笑)
彼は自身でのビジネスについて本気だったのです。

イカしたおっちゃんだわ!(笑)

ついに本家に訴えられる

2013年、トレーダー・ジョーズはついにハラットを訴えますが、結果的にはお店の方が敗訴しました。彼は、商品を正規の形で購入していたのであって、盗んだのでもなかった。カナダへの国境を超える時は、ちゃんと関税も払っていましたし、トレジョのコピー商品をつくったこともありませんでした。トレーダー・ジョーズはカナダで営業していなかったので、カナダで訴えることもできなかったため、裁判は彼に有利な判決を下しました。

ハラットは、お店のモットー「無所属、無認可、恐れ知らず」の通り、アメリカ内で買い物をして商品をカナダに持ち帰り続けました。この時点で、彼は自分の代わりに買い物をしてきてくれる人間を何人か雇っていました。彼らは、頼まれたものを集めて購入してから、駐車場に持ってくる。そこでは彼の白いバンが受け渡しを待っている、といった具合でした。彼のバンは、トレーダージョーズの紙袋で床から天井まで三段に積み上げられているぐらい、荷物でいっぱいでした。

そこで、トレーダー・ジョーズは控訴して、法廷で再び2店の対決が行われました。そして今回、判決はハラットに有利には運ばず、彼はお店の名前PireteのPを外した「Irate Joe’s」に変更しました。

法廷での戦いに負けた後、ハラットは「私がこのビジネスを行った理由は、私がサンフランシスコに3年間住んでいた間に、お値打ち価格で高品質のトレジョ商品に惚れ込んだからです」と話しました。「私はお店を、カナダにも持ってきたかっただけなんです。カナダには、トレーダー・ジョーの潜在市場が確かにあります、そして私のような誰かがそこを埋めるだけです」と。

そして悲しい日が・・

彼は、闘うためのクラウドファンディングまでやろうとしていましたが、結局ハラットとトレーダー・ジョーズは合意に至り、彼は2017年にお店を閉めることになりました。

ハラットは戦いが終わったことで安堵しましたが、このビジネスモデルがこういう風な終わり方を遂げたことを残念に思いました。しかし、続けることへの不確かさと圧力を辛いと感じていたことも事実でした。「何度も、もうこれはあきらめた方がいいんじゃないか、と考えていました。こんなことはバカげている、と。そういう時に限って、人々が私の元にやってきて、私達のために頑張ってくれてありがとう、と言うんだ。それは呪いのようだった:私たちが挑戦していることを多くの人たちが応援してくれている一方で、続けていくのは怖ろしく大変だった」

最後に、彼は、自分の店が「素晴らしい走り」を見せ、またカナダにはトレーダー・ジョーズがこちらで成り立つ十分な市場があることを証明できたと言いました。彼の頑張りが将来いつか報われることを望みましょう。しかし、今のところ、カナダにはトレーダー・ジョーズのお店ができる予定はありません。

 

エー💦 カナダの人喜んでたのに・・。

トレジョ、いい加減カナダに出店してあげたらいいのにねぇ。



いかがでしたか? Pirate Joe’s, 面白いコンセプトですよね! 彼はトレジョに惚れ込んで、その店をこちらで開きたい、と思っていただけなのだから、本家がカナダにも進出してお店を開いてやればいいじゃないか!と思いましたね。それとも、彼とフランチャイズ契約を結んで、正規にそちらで販売できるようにする、とか。。こんなに涙ぐましい努力をして買い出しに来ていたトレジョの猛烈ファンのハラットさんが、最後は折れて、バンクーバー市民に惜しまれながら店を閉めざるを得なくなって。。この経緯を見て、とても残念な気持ちになりました。私は、ハラットさんの「バンクーバー市民のために」という善意と、果敢にも店を運営し続けた勇気と根性を逆に称えたいです。


あの普段はとっても素敵なトレジョが、そういう点では、なぜそんなに頑ななのか、と逆に不思議に思いましたね。アメリカ国内でも、アラスカやハワイは地理的に離れすぎているという理由で、こちらも十分な市場があるにも関わらず未だ進出しようとはしていませんし・・海外でも、例えば日本にもコアなファンはいますから、日本に進出しても必ず売れると思いますが。やはり、商品価格に跳ね返るのを懸念しているのでしょうかね。

というわけで、私のネットショップFlora Optimaでも、Pirate Joe’sほど大々的にではありませんが、「ひっそりと」いくつかのTrader Joe’s商品を置いていますので、どうぞよろしくお願いします(笑)

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